桐箱について
日本における桐の歴史は約2,000年前の弥生時代に始まり、日本中の至るところに自生し美しい花を咲かせ、暮らしとも密接な関わりを持ってきました。歴史を通じて桐箱は単なる保管箱だけではなく、人々が世代を超えて保存したい個人の宝物を保管するための信頼できるものでもありました。桐材は湿気を防ぎ、気密性が高く、天然の防虫効果があり、国産材の中で最も軽くて燃えにくいなどの特性を持ち、古くから万能な木材として知られています。また桐は成長が早いため、女の子が生まれたら庭に桐の木を植えて、嫁入りの際に桐箪笥を作るという風習も知られています。会津桐で有名な福島県三島町では、今でも庭にその姿を見ることができる家があります。
家庭の貴重品から掛け軸などの国宝まで、有形無形の価値を守り続けてきた桐箱ですが、
現在、日本での生産者は激減しており、文化財修復保存箱に使う桐も手に入れるのが困難になってきています。そのため、会津に通い桐の研究者を尋ねるなど、現状と可能性を改めて調査研究しています。